民事信託の受託者の責任とは?責任や届出義務を弁護士が解説

民事信託では、受託者は信託財産を管理・運用する立場として、さまざまな責任を負います。
以下、民事信託契約における受託者の責任について、弁護士がわかりやすく解説します。

  1. 受益債権に関する責任
  2. 信託債権に関する責任
  3. 官公庁への届出義務

1. 受益債権に関する責任

受益債権とは、信託の受益者が、信託財産から利益を受け取ることができる権利のことです。例えば、信託財産から金銭の支払いを受ける権利などがこれに当たります。
信託法では、この受益債権に関する支払義務については、受託者は信託財産の範囲内でのみ履行する責任を負うとされています(信託法第21条第2項、第100条)。

つまり、受託者は、自分自身の財産から受益債権を支払う義務を負うわけではなく、信託財産の範囲内でのみ責任を負う(有限責任)ということになります。

2. 信託債権に関する責任

信託債権とは、信託財産責任負担債務に係る債権であって、受益債権ではないものをいいます(信託法第21条第2項第2号)。
具体的には、受託者が信託事務を行う中で、信託財産の価値を維持または増加させることを目的として行った行為によって生じた債権がこれに当たります。
このような場合、受託者は、信託財産のために行った行為であっても、その行為によって第三者(信託債権者)に対して負った債務については、信託財産だけでなく、受託者自身の固有財産についても履行責任を負います。

3. 官公庁への届出義務

民事信託を設定した場合には、一定のケースで、受託者が信託事務の一環として官公庁などへの届出や申請を行う必要が生じることがあります。
そのため、民事信託を開始した後は、必要な届出や申請が必要かどうかについても確認することが重要です。