欠格事由の話 ~斎藤道三の子・義龍の蛮行を現代民法に当てはめた場合~

美濃の国の戦国大名であった斎藤道三は、最後は子供の義龍 (よしたつ) と長良川の戦いで争い、殺されます。その後、斎藤家は、義龍が後を継ぎます。義龍には弟がいましたが、弟たちも義龍に殺されます。

これを現在の民法にあてはめた場合、義龍が斎藤家を継げるのか?という点を考えてみます。

斎藤道三、織田信長ゆかりの岐阜城(旧・稲葉山城)

民法891条に「欠格事由」という条文があります。「欠格事由に当たる事情があれば、その人は相続人になれない」という条文です。その1号は「故意に被相続人を死亡するに至らせたものは相続人になれない」となっています。また「先順位または同順位の相続人を故意に死亡に至らせたものも相続人になれない」となっています。

義龍は、被相続人である父・道三を死に至らせていますので、現代の民法であれば「欠格事由」にあたり、相続人になれません。

また、義龍とその弟は、いずれも道三の子であり、第一順位の相続人です。義龍は、同順位の相続人である弟たちも死に至らせていますので、やはり、この点においても「欠格事由」にあたり、相続人になれません。

よって、現代の民法に当てはめると、義龍は斎藤家を継げないということになります。

この後、義龍は亡くなり、義龍の子の代になって、織田信長に攻め滅ぼされます。

しかし、現代の民法に当てはめると、道三の子・義龍は欠格事由で相続人になれず、すでに弟たちも亡くなっています。その結果、相続人で生存しているのは、信長の妻である濃姫(のうひめ / のひめ)だけになります(*道三の妻や義龍の弟に子供がいなかったと仮定しています)。

現代の民法にあてはめると、濃姫(信長の妻)が斎藤家を継ぐことにより、信長は斎藤家を攻め滅ぼさなくても、労せずして美濃の国を手に入れることになります。

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