疎遠な兄弟姉妹-8-不在者財産管理人⑤申立後の流れ
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出典:裁判所「司法統計」令和元年家事審判・調停事件の事件別新受件数より 別表第2調停・審判事件(遺産分割、寄与分、相続人廃除等)の数
遺産分割関連の調停・審判事件の家庭裁判所の新受件数は、昭和60年から令和元年にかけ、約30年で約2.5倍に増えています。
遺産分割のトラブルが、年々増加の傾向にあるのはなぜだと思いますか?
「戸主」という言葉を聞いたことがあると思います。
戦前は、世帯全体の財産である「家」「家業」は、戸主(主に長男)をひとり決めて、その戸主が継ぐ(継がなくてはいけない)といったことが、法律上でも、制度上でもはっきりと定められていました。小説やドラマなどでも、「家」「家業」を継ぐ、継がないをめぐる親兄弟とのトラブルを題材にしたものも多く、記憶に新しいところでは、作曲家の古関裕而さんをモデルにした2020年のNHKの朝ドラ「エール」でも、跡取り息子として期待された主人公が、作曲家の夢を追って家を出てしまったので、弟が傾いた家業を継ぐというシーンが描かれていましたね。
しかし、戦後になると、民法の相続法・戸籍法が改正され、「家制度」がなくなり、戸籍からは戸主制度が消え、親と子の2世代の最低単位の戸籍になりました。法律上も、「家」「家業」より、個人の自由や平等という概念が優先されるようになったというわけです。遺産も、単純に戸主ひとりが継ぐわけではなく、相続人で平等に分けることになったことから、こどもの誰もが自分の権利を主張するようになり、相続の争いは、戦前より複雑になったと思います。
家制度がなくなり、個人の自由を追求していった結果、家はもちろん、最低限の単位であった親と子の家族(核家族)のカタチも大きく変わってきています。たとえば、近年では、離婚が増え、離婚した親が他の人と結婚し、またそこに家族ができるといったことも増えたことから、こういったケースの遺産分割争いでは、親に、自分たちとは別の家族がいて、顔を見たこともないようなきょうだいと遺産の話し合いをするということも、頻繁になってきています。
また、非嫡出子(親が家庭の外に作った子供)の相続分について、嫡出子(結婚した夫婦の間に生まれた子供)の2分の1であるという民法の規定が最高裁判所の判決で違憲とされ、子供であれば、全員が親の遺産に対し、平等な権利を持つという民法改正も、大きな話題となりました。
一方、相続人がいないという問題も多くなりました。少子高齢化の影響や、DINKsといった子供を持たない新しい家族の形を選択する人が増え、この結果、きょうだいやきょうだいの子供も(甥御さん、姪御さん)が相続人となり、いとこ同士で遺産分割争いをするといったケースも増えました。きょうだいにも子がおらず(つまり、甥御さん、姪御さんもおらず)、相続人が誰もいない、といったケースもそう珍しくはなくなってきました。
近年の遺産分割トラブルの増加は、一人の人間の相続に関わる人(相続を扱ったドラマにおいては、いわゆる「登場人物」ですね)の人間関係が、多様化し、より複雑になってきているからといえると思います。
相続、遺産分割の問題は、社会の変化と、それに呼応した法律の改正に従い、時代が進むにつれ、変わっていっています。
このような遺産分割において、複雑な問題を紐解き、解決に導いていく、専門家の必要性・役割も大きくなってきています。
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