相続した土地を放棄できるか?|放棄に必要な負担金|相続と地国家帰属法
相続した土地を放棄して国に帰属させるためには、法務局への申請が必要です。その後、審査を経て、承認か不承認が決定されます。申請料として、一筆の土地ごとに1万4000円がかります。放棄したい土…
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相続について詳しく、わかりやすく解説します。
相続とは、亡くなった方(被相続人〔ひそうぞくにん〕)が残した財産や借金などの権利・義務を、法律で決められた人(法定相続人)が引き継ぐ制度です。
また、遺言によって、財産を引き継ぐケースもあります。
「財産を誰がどれだけ引き継ぐのか」は、相続を進める上でもっとも重要なポイントです。
以下、相続に関わる基本的な仕組みを、詳しく説明します。
【1】遺産を引き継ぐ人について
亡くなった方の遺産を引き継ぐ人には「法律で決まった相続人(法定相続人)」と「遺言書で指定される受遺者」がいます。
■ 法定相続人とは?
誰が法定相続人になるかは、配偶者のほか、血縁者を順位にしたがって決めることになっています。
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◆ 必ず相続人になるのは「配偶者」だけ
配偶者(夫・妻)は、子どもがいてもいなくても、必ず相続人になります。
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◆ 血縁者は次の“順位”で決まります
相続人は下記のように順位で決まります。
第1順位:子ども(子が亡くなっていれば孫)
生まれている順番は問いません。
また、養子も実子と同じように相続人になります。
孫が相続するのは「代襲相続」という制度によるものです。
第2順位:父・母(子どもがいない場合)
父母のどちらかが亡くなっている場合は、残っている方のみが相続人になります。
第3順位:兄弟姉妹(兄弟姉妹が亡くなっていれば甥・姪)
甥・姪が相続するのは「代襲相続」という制度によるものです。
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◆ 相続放棄があった場合
相続放棄をすると、その人は「最初から相続人ではなかった」扱いになります。
《例》
• 子どもがいるが全員が相続放棄 ⇒ 親が相続人へ
• 子ども・親が相続放棄 ⇒ 兄弟姉妹が相続人へ
相続人の順位が繰り上がるとイメージするとわかりやすいです。
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◆ 遺贈(いぞう)がある場合
遺贈とは、遺言書で法定相続人以外の人に財産を渡すことです(法定相続人に遺贈をすることも可能です)。
《例》
• 甥(おい)と姪(めい)は、通常は相続人ではない
• 遺言書に「財産を甥・姪に渡す」と記載されていれば、甥・姪は財産を受け取れる
遺贈で財産を受け取る人は「受遺者(じゅいしゃ)」と呼ばれ、相続人ではありませんが、遺産を受け取る権利があります。
【2】相続の対象となる財産
相続対象は「プラスの財産」「マイナスの財産」の両方を含みます。
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■ プラスの財産(積極財産)
• 不動産(家、土地)
• 預貯金
• 現金
• 株式や投資信託
• 自動車
• 貸付金(他人にお金を貸している場合)
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■ マイナスの財産(消極財産)
• 借金・ローン
• クレジット未払い
• 税金の未払い
• 保証人としての負債 など
相続は「良い財産だけ」引き継ぐ制度ではありません。
借金のほうが多い場合、相続放棄をしないと負債まで引き継いでしまうため注意が必要です。
【3】法定相続分について
法律で決められた割合を「法定相続分」といいます。
ただし、遺言書がある場合は基本的に遺言の内容が優先します。
ここでは、代表的な相続人の組み合わせと相続分を説明します。
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(1)配偶者のみが相続人
配偶者がすべてを相続します。
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(2)配偶者+子ども
• 配偶者:1/2
• 子ども全体:1/2(人数で等分)
《例》子ども3人⇒ 各6分の1
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(3) 子どもだけ
人数で等分します。
《例》3人 ⇒ 1/3ずつ
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(4) 配偶者+父母
• 配偶者:2/3
• 父母:1/3(両親が健在なら各1/6)
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(5)父母のみ
両親がいれば1/2ずつ。
片方が亡くなっていれば、その1人がすべてを相続します。
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(6) 配偶者+兄弟姉妹
• 配偶者:3/4
• 兄弟姉妹:1/4(人数で等分)
兄弟のうち亡くなっている人がいれば、その子(甥・姪)が代わりに相続できます(代襲相続)。
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(7) 兄弟姉妹のみ
人数で等分します。
【4】代襲相続とは?
代襲相続(たいしゅうそうぞく)とは、相続人になるはずだった人が先に亡くなっていた場合、その子どもが代わりに相続する仕組みです。
《例》
• 子どもが先に亡くなっていた ⇒ 孫が相続
• 兄弟が先に亡くなっていた ⇒ 甥・姪が相続
この制度により、血筋による財産の承継が維持されます。
【5】婚外子(結婚していない相手との子ども)の相続
現在の法律では、婚外子も、婚内子(夫婦間の子)とまったく同じ相続分です。
最高裁判所の判断によって、差別的な扱いは廃止されました。
【6】父母が異なる兄弟(半血兄弟)の相続
同じ父母の兄弟(全血兄弟)と、片親だけ同じ兄弟(半血兄弟)では相続分に違いがあります。
• 全血兄弟:半血兄弟の2倍の相続分
(例:全血2/3、半血1/3)
これは、法律が「より血縁の近い人を優先する」という考え方によるものです。
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内縁関係(事実婚)の夫婦の相続
内縁関係は、法律上の夫婦と同じように扱われる場面(離婚する場合の慰謝料、財産分与等)もありますが、相続については別です。
内縁の配偶者は 相続人になれません。
内縁関係にある人に財産を残したい場合は、必ず遺言書を作成する必要があります。
【8】特別受益(生前贈与された財産の扱い)
特別受益とは、相続人が生前に特別な支援として財産を受け取っていた場合、その分を考慮して相続の公平を図るための制度です。
仕組みのポイント
• 生前に大きな贈与を受けていた相続人
⇒その贈与を加味して相続分を調整
• 遺言書で「持ち戻しをしない」としている場合は適用されない
《具体例》
• 遺産:預貯金2000万円
• Aさん:生前に1500万円の贈与
• Bさん:生前贈与なし
① 総財産として計算
2000万円+1500万円=3500万円
② 兄弟2人なので
3500万円÷2=1750万円(1人あたり)
③ Aさんは既に1500万円受領済
⇒ 残り250万円を相続
④ Bさんは1750万円を相続
これにより、2人とも実質的に1750万円ずつ受け取る計算になり、公平が保たれます。
ただし、遺言書で、「持ち戻しをしない」としている場合は、AさんもBさんも、預貯金を1,000万円ずつ受け取ります。Aさんの取り分は少なくなりますが、亡くなった方の意思を最大限に尊重するという相続法の考え方に基づくものです。
その結果、遺留分(相続分の2分の1)ももらえないケースでは、遺留分請求ができますが、本ケースは遺留分の侵害に当たりません。
【9】寄与分(財産に貢献した人の優遇)
寄与分とは、相続人の中で特別に財産の維持・増加に貢献した人が、通常より多くの相続分を受け取れる制度です。
《対象となるケース》
• 親の事業を無償で手伝った
• 病気の親を長期間介護した
• 財産として使える不動産や資金を提供した など
ただし、家庭裁判所では、介護を理由とする寄与分は認められにくい傾向があります。
「介護が財産の減少を防いだ」と客観的に証明するのが難しいためです。
《まとめ》
相続は、
• 誰が相続人か
• どれだけ相続できるか
• 生前贈与はどう扱われるか
• 借金がある場合どうするべきか
など、多くの要素が関わる複雑な制度です。
少しでも不安がある場合は、早めに専門家へ相談することで、トラブルを未然に防ぐことができます。
当事務所では、遺言書の作成から相続放棄、遺産分割まで幅広くサポートしておりますので、お気軽にご相談ください。
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