申し立て後、不在者財産管理人が選任されるまでの流れを説明します。
まず、申し立て後2週間ほどすると、裁判所から電話がかかってきて、予納金(不在者財産管理人の報酬に充てられる)の額を告げられます。最初に、この予納金を納めないと、手続きを先に進めてくれません。
次に、誰が不在者財産管理人になるか決めないといけません。
申立書に不在者財産管理人候補者が書いてあり、その人が不在者財産管理人に適切な方であれば、その方が選任されることも多いでしょう。
しかし、不在者財産管理人選任申立ての動機が遺産分割協議であった場合、兄弟姉妹は自らが相続人として不在者財産管理人と遺産分割の話し合いをしないといけないので、利害関係があり、不在者財産管理人にはなれません。
このような事情で、申立書に不在者財産管理人候補者を書けなかった場合、裁判所が不在者財産管理人候補者を探します。
まず、裁判所は、弁護士会等に不在者財産管理人の推薦依頼をします。
弁護士会等から特定の弁護士等の推薦が来たら、当該弁護士等に照会をします(就任を承諾するかなど)。照会の回答期限が2週間程度で、回答が来たら不在者財産管理人の選任決定がされます。
また、家庭裁判所自ら不在者の状況を確認するため、以下の項目を検察庁、県警本部に調査を嘱託する場合があります。
1 不在者の犯罪歴、または逮捕歴の有無。不在者に犯罪歴や逮捕歴がある場合、その内容を検察庁や県警本部に照会する。
2 不在者に関する運転免許交付の有無。不在者に運転免許の交付がある場合、最新の交付年月日、交付時の住所及び連絡先について県警本部などに照会をする。
また、不在者財産管理人選任に先立ち、家庭裁判所が申立人や不在者の親族などに照会したり、呼び出して事情を聞くケースもあります。