配偶者居住権を得た場合、建物の修繕費、固定資産税は誰が負担するか

Q.建物の修繕費、固定資産税は誰が負担しますか。

A
配偶者居住権が認められた場合、所有者(建物を引き継いだ相続人)は配偶者に建物を使用収益させる義務を負い、配偶者は使用収益する権利を有します。

この所有者(建物を引き継いだ相続人)と配偶者の権利義務関係は、賃貸借契約の賃貸人と賃借人の権利義務関係に類似しています。

しかし、賃貸借と違う点もあります。

すなわち、賃貸人は、建物の修繕義務を負っています(606条)が、所有者(建物を引き継いだ相続人)はこのような義務を負っていません。配偶者居住権の場合、修繕費や固定資産税の負担は配偶者が負います(1034条1項)。

そういった点では、所有者(建物を引き継いだ相続人)と配偶者の関係は、建物を無償で貸した場合(使用貸借)と似ています。無償で貸した場合、貸主は修繕義務を負いません。建物の必要費(修繕費や固定資産税)は借主が負います(595条1項)。

また、所有者(建物を引き継いだ相続人)は、建物の状態を維持するため、壊れた箇所があれば、修繕したいという必要性があります。しかし実際に住んでいるのは配偶者なので、建物の不具合に気付かない場合も多いです。このため、配偶者は修繕が必要な場合それを所有者(建物を引き継いだ相続人)に通知する義務を負います(1033条3項)。また、配偶者は、建物を修繕する権利を持っています(1022条1項)が、所有者(建物を引き継いだ相続人)は、配偶者が相当の期間内に修繕しない場合は、自ら修繕していいことになっています(1033条2項)。

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